流動比率とは?短期的な支払い余力を見る計算式

流動比率とは

流動比率は「短期の支払いに対して、短期で使える資産がどれだけあるか」を示します。高いほど短期的な資金繰りに余裕がある可能性があります。

計算式

流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

使い方

  • 短期的な支払い能力を確認する
  • 財務安全性の補助指標として見る
  • 在庫や売掛金が急増していないか確認する

注意点

  • 在庫や売掛金の質が悪いと現金化しにくい
  • 業種によって適正水準が異なる
  • 高すぎる場合は資産効率が低い可能性もある

流動比率の読み方

流動比率は、1年以内に現金になる資産(流動資産)が、1年以内に返す・払う義務のある負債(流動負債)の何%にあたるかを示す指標です。短期の支払い能力を見る代表的な物差しで、100%を超えていれば、流動資産だけで流動負債をまかなえる計算になります。流動資産には現金、売掛金、棚卸資産などが入り、流動負債には買掛金、短期借入金、1年以内に返す長期借入金などが入ります。

一般には150〜200%以上が安心の目安といわれますが、これは絶対的な基準ではありません。流動比率が高いほど安全ですが、高すぎるのも注意点で、現金や在庫が使われずに積み上がっている可能性があります。水準は業種で大きく変わるため、同じ会社の推移と、同業他社との差で判断します。

実在企業で見る流動比率の計算例

東日本旅客鉄道(JR東日本、9020)は、流動比率が100%を下回る会社の例です。2021年3月期は約44.2%、2022年3月期は約53.7%、2023年3月期は約68.7%、2026年3月期は約77.6%でした。流動資産が流動負債の約0.78倍しかない計算ですが、毎年安定して現金が入る鉄道事業では、この水準でも事業が回ります。2026年3月期の営業CFは約7,651億円と大きく、現金が安定して入ってくる事業です。

靴の小売りのエービーシー・マート(2670)は、流動比率が極めて高い例です。2021年2月期は約606%、2022年2月期は約726%、2023年2月期は約599%、2026年2月期は約659%と、5年を通じて6〜7倍の水準を保っています。流動資産が流動負債の約6.6倍あり、短期の支払いにはほとんど不安がありません。一方で、手元の現金や在庫が、成長や株主還元に十分使われているかを、別の指標で確かめる余地があります。

重工業の三菱重工業(7011)は、100%台前半から徐々に上がった例です。2021年3月期は約104.7%、2022年3月期は約113.0%、2023年3月期は約115.9%、2026年3月期は約127.7%でした。100%をやや上回る水準から、約23ポイント改善しています。受注から納品までの期間が長い業種で、前受金や仕掛品が大きく動きやすく、流動資産・流動負債も大きく動きます。

業種による水準の違い

流動比率は、事業のお金の回り方で水準が決まります。毎日現金が入る鉄道、通信、小売りの一部は、流動比率が100%前後や、それ以下でも運営できます。JR東日本の約78%が、この例です。一方、製品を作って売る製造業は、在庫と売掛金を持つため高くなり、200%を超える会社も珍しくありません。

流動比率が低い会社は、短期借入をすぐ借り換えられるかが重要です。借り換えの信用力があれば、100%を下回っていても問題になりにくい一方、金融環境が悪化すると影響を受けます。業種の平均を知ったうえで、自社の過去からの変化に注目します。

よくある誤解

1つ目は「流動比率が100%を切ると危ない」という見方です。JR東日本のように、営業CFが安定して大きい会社は、100%未満でも資金繰りに困りません。逆に、流動比率が高くても、売掛金が回収できない、在庫が売れないといった中身の悪さが隠れている場合があります。

2つ目は、流動比率が高いほど良いという考えです。エービーシー・マートのように6倍を超えると、現金や在庫を持ちすぎていないかを検討する余地があります。3つ目は、決算期末の一時的な要因です。借入の返済期限が1年以内に入ると、流動負債が急に増えて流動比率が下がることがあります。流動資産のうち、棚卸資産を除いた当座比率とあわせて見ると、より厳しく確認できます。

流動比率を確かめる手順は3つです。まず、100%を境に、流動資産が流動負債を上回っているかを見ます。次に、流動資産の中身が現金や売掛金か、在庫かを確かめます。在庫が中心なら、換金に時間がかかるため、実質的な余裕は数字より小さくなります。最後に、営業CFが安定してプラスかを確認します。三菱重工業のように、流動比率が約105%から約128%へ改善している会社は、短期の余裕が少しずつ厚くなっていると読めます。

他の指標との組み合わせ方

流動比率は、自己資本比率やD/Eレシオと組み合わせて、短期と長期の両面から財務の安全性を確かめます。流動資産の中身は、現金、売掛金、在庫のどれが多いかをCCCや各回転日数で調べます。営業CFが安定しているかも、あわせて確認します。

データの出所

流動比率の計算例は、有価証券報告書(EDINET)をもとにラジ株ナビが整理した財務データ(2026年10月時点)の「流動比率」と「営業CF」から取っています。対象は東日本旅客鉄道(9020)の2021年3月期〜2026年3月期、エービーシー・マート(2670)の2021年2月期〜2023年2月期と2026年2月期、三菱重工業(7011)の2021年3月期〜2023年3月期と2026年3月期です。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。

よくある質問

流動比率は何%以上ならよいですか?

一般には150〜200%以上が目安ですが、業種で大きく異なります。JR東日本の2026年3月期は約77.6%、エービーシー・マートの2026年2月期は約659%で、事業の性質が違うため水準も全く違います。同業他社と自社の推移で見ます。

流動比率が100%未満だと、倒産リスクが高いのですか?

一概には言えません。JR東日本は、2021年3月期に約44.2%でしたが、その後は上がり、2026年3月期は約77.6%です。営業CFは2022年3月期以降プラスが続いています。営業CFが安定してプラスか、短期借入を借り換えられるかをあわせて確認します。

流動比率が高すぎるのは問題ですか?

短期の安全性は高い反面、現金や在庫が効率よく使われていない可能性があります。エービーシー・マートの流動比率は、5年を通じて約600〜726%と高い水準です。ROEや総資産回転率とあわせて、資産が活かされているかを見ます。

関連用語

データの出典と更新

この用語解説はEDINET財務データ、決算書分析、株式投資で一般的に使われる財務指標の定義をもとに整理しています。最終更新日: 2026-11-01。

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