BPSとは?1株純資産の意味・PBRとの関係

BPSとは

BPSは「会社の純資産を1株あたりで見た金額」です。株価がBPSに対して高いか低いかを見ることで、PBRを計算できます。

計算式

BPS = 純資産 ÷ 発行済株式数

使い方

  • PBRの前提となる純資産水準を見る
  • 1株あたりの資産価値の変化を確認する
  • 自己資本の積み上がりを長期で見る

注意点

  • 資産の時価と簿価が大きく異なる場合がある
  • 赤字継続でBPSが減少していないか確認する
  • BPSだけでは収益力は判断できない

BPSの読み方

BPS(1株当たり純資産)は、会社が持つ純資産(自己資本)を株式数で割った金額です。会社を今すぐ清算して株主に分けたと仮定したときの1株分の目安として使われますが、実際には資産を帳簿の価額(簿価)で数えた値であり、売却したときに手元に残る金額とは限りません。PBR(株価÷BPS)の分母にあたる数字です。

見方のポイントは、BPSが増えているかどうかです。BPSは、稼いだ利益のうち配当に回さず内部に残した分だけ積み上がります。つまり長期でBPSが伸びている会社は、利益を内部に残して純資産を育てられている会社です。逆に、赤字が続けばBPSは減り、配当や自社株買いが利益を上回れば、やはり増えにくくなります。

実在企業で見るBPSの計算例

小売業のニトリホールディングス(9843)の2026年3月期は、BPSが1,749.49円、自己資本が約9,886億円で、株式数は約5.65億株です。PBRは1.44倍でした。BPSにPBRを掛けると約2,519円で、これが決算時点の株価に相当します。5年前の2021年2月期はBPSが1,138.22円、PBRが3.69倍。この間にBPSは約54%増えましたが、PBRは3.69倍から1.44倍へ下がっています。純資産は育ったのに、市場の評価は大きく切り下がった例です。なお、この間に決算月が2月から3月に変わっています。

任天堂(7974)の2026年3月期は、BPSが2,562.41円、自己資本が約2兆9,540億円、PBRが3.42倍でした。BPSにPBRを掛けると約8,763円で、EPSにPERを掛けた約8,774円とほぼ一致し、2つの方向から同じ水準の株価が復元できます。2021年3月期のBPSは1,573.48円(自己資本約1兆8,744億円)でしたから、5年で約63%増えています。2026年3月期のEPS364.51円をBPS2,562.41円で割ると約14.2%で、純資産に対して1年で14%超の利益を出している計算です。

不動産の三井不動産(8801)は、BPSが2023年3月期の1,035.79円から2026年3月期の1,206.06円へ約16%増えました。同じ期間にPBRは0.80倍から1.37倍へ上がり、BPSにPBRを掛けた決算時点の株価は約829円から約1,652円へ、ほぼ2倍です。純資産の増え方に比べて、株価の評価が大きく動いたことが分かります。

業種による水準の違い

工場や不動産、船舶などの資産を持つ業種は、BPSが事業の実体をよく映します。一方、ソフトウェアやブランドで稼ぐ会社は、利益の源泉が帳簿に載りにくい無形の強みであるため、BPSに比べて株価が高くなり、PBRが高くなりがちです。任天堂のPBRが3倍台なのは、その典型的な姿の一つです。

不動産会社や海運会社のように、土地や船を取得時の価額で計上する業種は、時価と簿価が離れることがあります。BPSが小さく見えても、保有資産の時価はそれより高い場合があります。BPSを使うときは、その業種の資産が簿価で正しく評価されているかを意識してください。

よくある誤解

最も多い誤解は「BPSは会社の解散価値」という捉え方です。簿価の純資産は、売掛金の回収不能や在庫の値下がり、事業の撤退費用が反映される前の数字で、実際に清算すればもっと小さくなることがあります。逆に、土地の含み益のように、帳簿より価値が高い資産もあります。

2つ目は、BPSが増えているというだけで安心することです。増資でBPSが増えたのか、利益の積み上げで増えたのかで意味が変わります。また、のれんなど実体のつかみにくい資産が大きい会社は、BPSの中身を確認する必要があります。3つ目は、自己資本が株価の評価の下限になるという思い込みで、赤字が続けば純資産そのものが減ります。

使い方としては、BPSの絶対額を比べるのではなく、同じ会社の5年分、10年分の推移を並べるのが実用的です。たとえばニトリは5年で約54%、任天堂は約63%増えていますが、増え方が毎年なだらかか、特定の年だけ跳ねているかで、利益の質の見え方が変わります。自社株買いや配当の増減もBPSに影響するため、純利益の積み上げ分と合わせて確認すると、純資産が育つ仕組みが分かります。

他の指標との組み合わせ方

BPSは単独では使わず、株価と組み合わせたPBRと一緒に見ます。純資産に対してどれだけ稼いでいるかはROEで確認でき、純資産の厚みは自己資本比率に表れます。現金の多さに着目する手法では、ネットキャッシュやネットネット株の考え方と合わせて使います。

データの出所

BPSの計算例は、有価証券報告書(EDINET)をもとにラジ株ナビが整理した財務データ(2026年10月時点)の「BPS」「PBR」「株主資本(自己資本)」「EPS」から取っています。対象はニトリホールディングス(9843)の2021年2月期と2026年3月期、任天堂(7974)の2021年3月期と2026年3月期、三井不動産(8801)の2023年3月期と2026年3月期です。決算時点の株価はBPSにPBRを掛けて逆算した値です。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。

よくある質問

BPSより株価が低いと必ず割安ですか?

必ずしも割安とは言えません。BPSは帳簿上の純資産で、事業が稼ぐ力は反映されません。利益率が低い、資産の中身が劣化しているといった理由で、株価がBPSを下回ることもあります。PBRとあわせて、ROEなど稼ぐ力の指標を見て判断します。

BPSが毎年増えているのは良いことですか?

利益を内部に残して増えているなら、基本的には良い傾向です。ただし、増資で増えている場合や、増えた純資産を活かして利益を出せていない場合は別です。任天堂のようにBPSの増加と並行してEPSも出ているかを確認します。

BPSとEPSはどう使い分けますか?

EPSは1年間に稼いだ利益、BPSはこれまでに積み上がった資産の1株分です。利益の流れを見るのがEPS、資産の蓄積を見るのがBPSで、株価との比がそれぞれPERとPBRです。任天堂の2026年3月期は、EPSをBPSで割ると約14.2%でした。

関連用語

データの出典と更新

この用語解説はEDINET財務データ、決算書分析、株式投資で一般的に使われる財務指標の定義をもとに整理しています。最終更新日: 2026-11-01。

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