PBRとは?株価純資産倍率の意味・1倍割れの見方

PBRとは

PBRは「会社の純資産に対して、株式市場がどれくらいの価格を付けているか」を見る指標です。1倍割れは割安候補ですが、収益性が低い理由も確認します。

計算式

PBR = 株価 ÷ BPS

使い方

  • 資産面から割安株を探す
  • ROEと組み合わせて市場評価の妥当性を見る
  • ネットキャッシュや自己資本比率とあわせて安全性を見る

注意点

  • PBR1倍割れでも収益性が低い企業は評価されにくい
  • 簿価に含まれる資産の質を確認する必要がある
  • 金融・不動産など業種特性で見方が変わる

PBRの読み方

PBRは、株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍かを示します。PBR1倍は、株価が帳簿上の純資産と同じという意味です。帳簿の資産がそのまま換金できると仮定すれば、1倍は会社を解散したときの価値に近い水準で、1倍を割ると「解散した方が価値が高い」状態になります。そのため、PBR1倍は割安・割高を測る一つの節目として使われます。

もう一つ押さえたいのは、PBR=PER×ROE(期末ベース)という関係です。株価が純資産の何倍で評価されるかは、利益に対する評価(PER)と、純資産からどれだけ利益を生むか(ROE)で決まります。ROEが低い会社は、PBRが1倍を下回っても理論上おかしくありません。PBRが低い理由を、資産の評価の問題なのか、収益力の問題なのかに切り分けて考えるのがコツです。

実在企業で見るPBRの計算例

トヨタ自動車(7203)の2026年3月期は、BPSが3,062.82円、PBRが1.03倍でした。BPSにPBRを掛けると約3,155円で、これが決算時点の株価相当です。同期のEPS295.25円とPER10.7倍で別の面から計算しても同じ水準になり、PBR1.03倍=PER10.7倍×ROE(期末ベース約9.6%)の関係が確かめられます。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)では、PBRが1倍を割っていた時期と超えた時期を比べられます。2023年3月期はBPS1,433.11円、PBR0.59倍、ROE6.51%でした。2026年3月期はBPS1,973.30円、PBR1.32倍、ROE11.34%。決算時点の株価相当は約850円から約2,600円へ約3.1倍に上がりましたが、BPSは約1.4倍にしか増えていません。株価上昇の大半は純資産の積み上げではなく、ROEの改善とともに評価の倍率が切り上がった分だと分かります。

武田薬品工業(4502)の2025年3月期は、BPS4,407.01円でPBRは1.0倍でした。ところがROEは1.5%と低水準でした。PBRが1倍前後でも、純資産に見合う利益は出せていない状態で、市場は現在の利益水準とは別の要素を織り込んでいる可能性があります。PBRだけで割安と判断できない例です。

一方、ファーストリテイリング(9983)の2025年8月期は、BPS7,408.65円に対してPBRが6.29倍。PER33.0倍と、期末ベースROE(EPS1,411.44円÷BPS7,408.65円=約19.1%)を掛けると約6.3倍で、高いPBRの根拠は高いROEにあることが分かります。

業種による水準の違い

銀行や不動産、素材のように、純資産(資産)が事業の土台になっている業種は、PBRが1倍前後で語られることが多くなります。一方、ブランドやソフトウェア、サービスなど、収益の源泉が帳簿に載りにくい無形資産にある業種は、PBRが高めに出やすくなります。同じ1倍でも、前者では「資産価値と同等」、後者では「資産の裏付けは薄いが利益は評価されている」といった異なる意味になります。

また、金融業では純資産の何倍もの資産と負債を抱えるため、PBRで見るときは自己資本比率や不良債権の状況など、業種固有の指標をあわせて確認する必要があります。

よくある誤解

「PBR1倍割れは必ず割安」という見方は危険です。ROEが株主の求めるリターン(資本コスト)を下回る会社は、純資産を持っているだけで価値を減らしているとも言えるため、市場が1倍を下回る評価を付けるのは合理的な場合があります。東京証券取引所は2023年3月に、資本コストや株価を意識した経営を上場会社に要請しており、PBR1倍割れの会社が改善策を開示する動きが広がりましたが、開示があったから割安という意味ではありません。

逆に「PBRが高い=割高」とも限りません。ファーストリテイリングのように、ROEが高い会社では高いPBRが自然に成り立ちます。また、BPSの中身も確認が必要です。現預金が多いのか、のれんが大きいのか、含み損を抱えた資産があるのかで、同じBPSでも質は違います。

他の指標との組み合わせ方

PBRは、ROEとセットで見るのが基本です。ROEが高くPBRが低ければ評価の見直し余地、ROEが低くPBRも低ければ収益力の問題、というように切り分けられます。資産の質を確かめるには、自己資本比率やネットキャッシュを併用します。ネットキャッシュが時価総額に近い会社は、清原式のような資産面の割安を探すスクリーニングで注目されます。利益面の評価はPERで確認し、両者を並べて見ることをおすすめします。

データの出所

計算例の数値は、各社の有価証券報告書(EDINET)をもとにラジ株ナビが整理した財務データ(2026年10月時点)から取っています。PER・PBR・配当利回りは決算時点の値で、現在の株価で計算し直した値とは異なります。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。

よくある質問

PBR1倍割れとは何ですか?

株価が1株あたり純資産を下回っている状態です。帳簿どおりに資産を換金できるなら解散した方が価値が高いことを意味しますが、ROEが低く資産が利益を生めていない会社では、市場が1倍割れを妥当と判断している場合もあります。

PBRは何倍くらいが目安ですか?

1倍が一つの節目ですが、業種で水準が違います。銀行など資産が中心の業種は1倍前後、高収益のブランド型企業は数倍になることもあります。本文の例では、トヨタが1.03倍、ファーストリテイリングが6.29倍でした。

PBRが低い会社は株価が上がりますか?

保証はありません。三菱UFJFGの例では、PBR0.59倍から1.32倍に上がる間にROEも6.51%から11.34%へ改善していました。PBRの低さだけでなく、ROEの改善や株主還元の強化といった変化が伴うかが重要です。

関連用語

データの出典と更新

この用語解説はEDINET財務データ、決算書分析、株式投資で一般的に使われる財務指標の定義をもとに整理しています。最終更新日: 2026-11-01。

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