PERとは?株価収益率の意味・計算式・割安判断の注意点

PERとは

PERは「今の株価が、会社の利益に対して何倍の水準か」を見る指標です。低いほど割安に見えますが、成長性や一時的な利益変動もあわせて確認する必要があります。

計算式

PER = 株価 ÷ EPS

使い方

  • 同業内で株価の割高・割安を比較する
  • 利益成長率とあわせて成長株の妥当性を見る
  • 過去の平均PERと現在の水準を比較する

注意点

  • 一時的な利益増減で大きくぶれる
  • 赤字企業ではPERが使いにくい
  • 低PERでも業績悪化が織り込まれている場合がある

PERで何が分かるか

PERは、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍で評価されているかを表します。PER15倍なら、今の利益水準が続くと仮定したとき、株価に見合う利益を積み上げるのに15年かかる計算です。逆数の「1÷PER」は益利回りと呼ばれ、PER15倍なら約6.7%。「この会社の利益1円を手に入れるのに、市場がいくら払っているか」を示す数字だと考えると読みやすくなります。

PERの水準そのものに正解はありません。高いPERは「今後も利益が伸びる」という期待が株価に織り込まれていることが多く、低いPERは成長期待が小さい、事業のリスクが意識されている、あるいは利益が一時的に膨らんでいる、といった理由で起こります。低いから割安、高いから割高と決めつけず、なぜその水準なのかを考える入口として使うのが基本です。

実在企業で見るPERの計算例

情報・通信業のKDDI(9433)の2026年3月期は、EPSが183.59円、PERが14.83倍でした。EPSにPERを掛けると約2,720円で、これが決算時点の株価に相当します。益利回りは約6.7%です。

小売業のファーストリテイリング(9983)の2025年8月期は、EPSが1,411.44円、PERが33.0倍。KDDIの2倍強の倍率ですが、同期のROEは20.2%と高く、利益の伸びと資本効率の高さが評価に反映されていると読めます。同じ「利益の何倍」でも、業種と成長期待で水準が大きく違う例です。

日本たばこ産業(2914)は、利益の振れでPERが変わる様子がよく分かります。2024年12月期はEPS100.95円(純利益1,792億円)でPERは40.42倍。2025年12月期はEPS287.36円(純利益5,102億円)でPERは19.63倍でした。決算時点の株価相当は約4,080円から約5,640円へ約38%の上昇ですが、EPSは約2.8倍になっています。PERが半分に下がったのは株価が下がったからではなく、分母の利益が大きく戻ったためです。

医薬品の武田薬品工業(4502)では、2025年3月期のEPSは68.36円でPERは64.6倍と高い数字でした。利益が小さい期は、少しの株価でもPERが大きく見えます。続く2026年3月期は純損失(EPSマイナス96.75円)となり、PERは計算しても意味を持たなくなります。

業種による水準の違い

一般に、通信・銀行・商社・公益のように利益が安定していて成長余地が限られる業種は、PERが低めに出やすい傾向があります。反対に、小売の成長企業、ソフトウェア、医薬品のように将来の利益拡大が期待されやすい業種は、高めになりがちです。上の例でも、KDDIとファーストリテイリングで倍率は2倍以上違います。

景気に左右される業種(自動車、化学、海運、素材など)には注意が必要です。利益が景気のピークにあるときはEPSが大きくPERが低く見え、景気の谷では利益が小さくPERが高く見えます。「PERが低いから安い」と判断した直後に利益が減り、結果として割安ではなかったという形になりやすいのが、この種の業種です。PERを比べるときは、まず同じ業種の中で、できれば複数年の推移で見てください。

よくある誤解

誤解の1つ目は「PERが低いほど得」という考え方です。低PERの裏には、業績悪化の見通しや、成長が止まっているという市場の判断があることも少なくありません。2つ目は、特別利益や減損など一時的な損益を含んだEPSでPERを見てしまうことです。JTの例のように、一時的な要因で利益が振れた年のPERは、その会社の通常の姿を表していません。

3つ目は、実績PERと予想PERの混同です。実績PERは過去1期分の確定したEPS、予想PERは会社が見込む今期のEPSを使います。決算発表の直後は両者に差が出やすく、どちらの数字を見ているのかで印象が変わります。また、この記事の例のPERは決算時点のものです。株価は毎日動くため、今のPERは別の値になっています。

他の指標との組み合わせ方

PERは利益だけを見る指標なので、他の指標と組み合わせると精度が上がります。利益の成長率を加味するならPEG、資産面からの評価を見るならPBRが使えます。PBRはPERとROEの掛け算(PBR=PER×ROE)で表せるため、2つの数字を同時に見れば、割高・割安の理由が資本効率にあるのか、利益水準にあるのかを切り分けられます。借入が多い会社を比べるときは、負債も含めて評価するEV/EBITDAが向いています。利益が現金で裏付けられているかは、フリーキャッシュフローで確認できます。

データの出所

計算例の数値は、各社の有価証券報告書(EDINET)をもとにラジ株ナビが整理した財務データ(2026年10月時点)から取っています。PER・PBR・配当利回りは決算時点の値で、現在の株価で計算し直した値とは異なります。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。

よくある質問

PERは何倍なら妥当ですか?

決まった基準はありません。市場全体の平均や、同じ業種の会社と比べて高いか低いかを見るのが基本で、成長率が高い会社ほど高いPERが付きやすくなります。本文の例では、KDDIが14.83倍、ファーストリテイリングが33.0倍と、業種によって倍率が大きく違います。

赤字の会社のPERはどう見ますか?

EPSがマイナスの場合、PERは計算しても意味を持たず、一般に「算出不能」として扱います。黒字でも利益がごく小さい期はPERが極端に高くなるため、赤字や利益が小さい会社にはPBRや売上高など別の指標を併用します。

PERとPBRはどちらを重視すべきですか?

会社の性質で使い分けます。利益が安定している会社はPER、資産の価値が事業の中心である会社(金融・不動産など)や赤字の会社はPBRが参考になります。PBRはPER×ROEで表せるので、両方を見るのが最も安全です。

関連用語

データの出典と更新

この用語解説はEDINET財務データ、決算書分析、株式投資で一般的に使われる財務指標の定義をもとに整理しています。最終更新日: 2026-11-01。

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