PEGレシオとは?PERと利益成長率で割安成長株を見る指標
PEGレシオとは
PEGレシオは「PERが利益成長に見合っているか」を見る指標です。PERが高くても利益成長が十分なら、割高とは限らないことを確認できます。
計算式
PEGレシオ = PER ÷ EPS成長率(%)
使い方
- 成長株の割高・割安を補助的に見る
- PERだけでは判断しにくい銘柄を比較する
- 利益成長率と株価評価のバランスを見る
注意点
- 成長率予想が外れると判断も大きく変わる
- 一時的なEPS成長で低く見える場合がある
- 成熟企業や赤字企業には使いにくい
PEGレシオの読み方
PEGレシオは、PER(株価が利益の何倍か)を、EPSの年間成長率(%)で割った指標です。PERが同じ20倍でも、利益が年20%で伸びる会社と、ほとんど伸びない会社では、割安さがまったく違います。その違いを一つの数字にまとめたのがPEGで、成長に対して株価が高いのか安いのかを測ります。
目安として、1倍以下なら成長に対して割安、1倍を大きく超えるなら割高と見られることがあります。ただし、これは分析の入口にすぎません。成長率には「過去の実績」を使う場合と「将来の予想」を使う場合があり、ここでは確定した実績の3年間の年平均成長率を使っています。成長率が小さいほど、PEGは分母が小さくなって大きく振れやすい点にも注意が必要です。
実在企業で見るPEGレシオの計算例
製薬の中外製薬(4519)の2025年12月期は、EPSが2022年12月期の227.64円から263.73円へ増え、3年間の年平均成長率は5.03%でした。PERは31.26倍なので、PEGは約6.2倍です。成長率が控えめなのに高いPERが付いており、成長だけでは説明できない評価だと分かります。
東京エレクトロン(8035)の2026年3月期は、EPSが201.56円から250.91円へ、年平均7.57%の成長でした。PERは29.68倍で、PEGは約3.9倍です。半導体関連は市況の波があり、3年間の起点と終点の選び方で成長率が変わりやすい業種です。
航空のANAホールディングス(9202)は、PEGが小さく出る例です。2026年3月期のEPSは358.37円で、3年前の2023年3月期の190.24円から年平均23.50%の成長。PERは7.8倍ですから、PEGは約0.33倍と、とても割安に見えます。しかし起点の2023年3月期は、その前の2期(2021年3月期はEPSがマイナス1,082.04円、2022年3月期はマイナス305.37円)の赤字から黒字に戻った直後です。回復局面を起点にした成長率は大きく出やすく、PEGは実態より良く見えます。
花王(4452)は、起点の選び方でPEGが変わることを示す例です。2025年12月期のEPSは130.15円、PERは24.1倍。3年前の2022年12月期のEPS91.64円を起点にすると、年平均成長率は12.41%、PEGは約1.94倍です。ところが、EPSが47.19円まで落ちた2023年12月期を起点にすると、2年間の年平均成長率は66.07%、PEGは約0.36倍まで下がります。同じ会社、同じ株価でも、起点を変えるだけで割高にも割安にも見えます。
業種による水準の違い
成長率の安定した業種では、PEGが比べやすくなります。医薬品や精密機器のように、研究開発から利益に結びつくまでの時間差がある業種や、半導体のように市況の波が大きい業種は、成長率が年ごとに大きく変わり、PEGも不安定です。景気の影響を受けやすい業種は、複数の起点でPEGを確認します。
成熟した業種(電力、通信、食品など)は、そもそも成長率が低く、PEGの分母が小さくなって数値が大きく出ます。また、赤字や利益がごく小さい年から回復した会社では、成長率が極端に高くなり、PEGは小さく見えます。PEGが使えるのは、一定の成長を続けている、黒字の会社に限られます。
よくある誤解
「PEGが1倍以下なら買い」という使い方は危険です。ANAの例のように、赤字からの回復で成長率が一時的に大きく出ているだけのことがあります。成長率の裏付けとなる、売上や利益の質を確認しないまま数字だけで判断すると、割安に見えるだけの会社を選んでしまいます。
2つ目は、過去の成長率が将来も続くと考えることです。PEGは、これまでの成長が続くという前提に立っています。成長が鈍れば、PERの分子はそのままで分母が小さくなり、PEGは急に高くなります。3つ目は、一時的な利益で成長率が膨らんだ年を起点や終点にすることで、花王の例のように、起点によって結論が逆になります。
他の指標との組み合わせ方
PEGは、PERとEPSの成長率から作られているので、まず両方の推移を確認します。成長の元手となる資本効率はROEで、利益の裏付けとなる現金はFCFで確かめます。財務の健全性が伴っているかは自己資本比率でチェックし、PEGで見つけた候補を絞り込みます。PEGを使った銘柄探しは、ガイドでも紹介しています。
データの出所
PEGレシオの計算例は、有価証券報告書(EDINET)をもとにラジ株ナビが整理した財務データ(2026年10月時点)の「EPS」と決算時点の「PER」から計算しています。EPSの年平均成長率は、起点から終点までの期間で(終点÷起点)を年数乗根にして求めた値で、API の3年成長率と一致することを確認しています。対象は中外製薬(4519)の2022年12月期と2025年12月期、東京エレクトロン(8035)の2023年3月期と2026年3月期、ANAホールディングス(9202)の2021年3月期から2026年3月期、花王(4452)の2022年12月期・2023年12月期・2025年12月期です。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。
よくある質問
PEGレシオは何倍以下なら割安ですか?
一般に1倍以下が割安の目安とされますが、絶対的な基準ではありません。本文の例では、ANAが約0.33倍、花王が約1.94倍、中外製薬が約6.2倍でした。ただし、ANAは赤字からの回復で成長率が高く出ており、数字だけで判断できません。
赤字から回復した会社にPEGは使えますか?
慎重に使う必要があります。赤字や利益が小さい年を起点にすると、成長率が極端に高く出て、PEGは実態より小さく見えます。ANAの例のように、回復の途中ではなく、利益が安定してからの成長率を見るのが無難です。
成長率はどの期間で計算すればよいですか?
3年から5年の年平均を使うのが一般的です。ただし、花王の例では起点を2022年12月期にすると約1.94倍、2023年12月期にすると約0.36倍と、起点で結果が変わりました。複数の起点で計算して確かめます。
関連用語
データの出典と更新
この用語解説はEDINET財務データ、決算書分析、株式投資で一般的に使われる財務指標の定義をもとに整理しています。最終更新日: 2026-11-01。
著者・運営者
本ページは、ラジトレが運営するラジ株ナビ編集方針に基づき、日本株の財務分析、EDINETデータ、決算短信、配当情報をもとに作成しています。