インタレスト・カバレッジ・レシオとは?利払い余力を見る指標

インタレスト・カバレッジ・レシオとは

インタレスト・カバレッジ・レシオは「利息を払う力がどれだけあるか」を示します。高いほど借入の利払いに余裕があり、低いほど金利上昇や減益に弱くなります。

計算式

インタレスト・カバレッジ・レシオ = 営業利益 ÷ 支払利息

使い方

  • 利払い負担への耐性を見る
  • 有利子負債の多い企業の安全性を確認する
  • 金利上昇局面のリスクを把握する

注意点

  • 支払利息が小さい企業では極端に高く出る
  • 営業利益が一時的に落ちると急低下する
  • 借入返済能力は営業CFもあわせて見る

インタレスト・カバレッジ・レシオの読み方

インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入にかかる利息(支払利息)を、稼ぎの何倍で賄えているかを示す指標です。一般的な式は、営業利益÷支払利息です。たとえば10倍なら、営業利益の10分の1で利息を払える計算になります。1倍を下回ると、本業の利益だけでは利息を払いきれず、手元の現金や追加の借入で補っていることになります。

注意したいのは、稼ぎの測り方に営業利益と営業CFの2通りがあることです。ラジ株ナビのチャートの値は、営業CF÷支払利息で作られています。この解説の本文では、用語の標準式である営業利益ベースの倍率を中心に、営業CFベースの倍率を「チャートの値」として併記します。支払利息は、営業CFをチャートの値で割って逆算した概算です。

実在企業で見るインタレスト・カバレッジ・レシオの計算例

製薬の武田薬品工業(4502)は、借入の利息が重い会社の例です。2022年3月期は、営業CFが約1兆1,231億円、チャートの値が6.74倍なので、支払利息は約1,666億円です。営業利益は約4,608億円なので、標準式の倍率は約2.8倍でした。2026年3月期は、チャートの値が2.91倍と下がり、支払利息は約3,579億円に増えています。営業利益は約62億円しかなく、標準式の倍率は約0.02倍です。営業CFは約1兆414億円あるため利息は払えますが、営業利益だけでは利息をほとんど賄えていない状態です。

建設の鹿島建設(1812)は、利息が急に重くなった例です。2021年3月期は、有利子負債が約3,170億円、実効金利が約0.84%で、支払利息は約26.6億円でした。営業利益約1,273億円で割ると約47.9倍です。2026年3月期は、有利子負債が約8,331億円に増え、実効金利が約3.13%に上がったため、支払利息は約260.5億円と約10倍になりました。営業利益は約2,408億円で、倍率は約9.2倍です。2023年3月期は、営業CFが約−291億円でチャートの値は−6.05倍でしたが、営業利益ベースでは約25.7倍と、数字の見え方が大きく変わりました。

鉄鋼の日本製鉄(5401)は、利益の減少と利息の増加が重なった例です。2024年3月期は、営業CFが約1兆102億円、チャートの値が27.88倍で、支払利息は約362億円でした。営業利益約7,787億円で割ると約21.5倍です。2026年3月期は、チャートの値が7.08倍に下がり、支払利息は約1,013億円と約2.8倍に、営業利益は約2,429億円に減って、標準式の倍率は約2.4倍になりました。利息が増えた理由は、このデータだけでは確認できません。

業種による水準の違い

倍率の水準は、借入の多さと利益の安定性で変わります。設備投資が大きく借入に頼る業種や、買収で借入を増やした会社は、倍率が低めです。一方、借入がほとんどない会社は、倍率が極端に高くなります。エービーシー・マート(2670)の2026年2月期のチャートの値は約1,195倍で、支払利息は約0.35億円でした。こうした会社では、倍率の大きさに意味はありません。

利息の重さは、借入の金額だけでなく金利でも決まります。鹿島建設のように、借入が約2.6倍になる間に実効金利が約3.7倍になれば、利息は約10倍に膨らみます。金利が上がる局面では、借入の多い会社の倍率が下がりやすくなります。目安としては、3〜5倍を下回ると注意が必要といわれます。

よくある誤解

1つ目は「営業利益が出ていれば利息は大丈夫」という見方です。武田薬品工業の2026年3月期のように、営業利益が小さい年は、営業利益ベースの倍率が1倍を大きく下回ります。営業CFが厚いために払えていますが、利益だけで見ると余裕がありません。2つ目は、営業CFを分子にした倍率が高ければ安心という見方です。営業CFは売掛金や在庫の増減で振れるため、鹿島建設の2023年3月期のようにマイナスになる年があります。

3つ目は、倍率が高い会社がすべて健全という見方です。借入がゼロに近いだけの場合もあります。4つ目は、支払利息の範囲です。IFRSの会社は、リース負債の利息や年金に関する費用を含めることがあり、日本基準の会社と単純に比べられません。倍率の計算に使った分子と分母が、何を含むかを確認します。

他の指標との組み合わせ方

倍率が下がった理由は、借入の増加と利益の減少のどちらかを、有利子負債とD/Eレシオ、営業利益の推移で切り分けます。自己資本比率やネットキャッシュとあわせて見れば、返済の余力も分かります。ガイドでは、財務の安全性を確かめる手順を紹介しています。

データの出所

インタレスト・カバレッジ・レシオの計算例は、有価証券報告書(EDINET)をもとにラジ株ナビが整理した財務データ(2026年10月時点)の「インタレストカバレッジレシオ」「営業CF」「営業利益」「有利子負債」「実効金利」から取っています。このチャートの値は営業CF÷支払利息で、本文の営業利益ベースの倍率と支払利息は、そこから逆算した概算です。対象は武田薬品工業(4502)の2022年3月期と2026年3月期、鹿島建設(1812)の2021年3月期・2023年3月期・2026年3月期、日本製鉄(5401)の2024年3月期と2026年3月期、エービーシー・マート(2670)の2026年2月期です。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。

よくある質問

インタレスト・カバレッジ・レシオは何倍以上なら安心ですか?

一般には、3〜5倍以上が目安とされます。ただし、業種や金利の水準で変わります。本文の例では、鹿島建設の2026年3月期は営業利益ベースで約9.2倍、日本製鉄の2026年3月期は約2.4倍でした。倍率の推移と、利益・借入の動きをあわせて見ます。

営業利益ベースと営業CFベースはどちらを見ますか?

両方を見ます。営業利益は本業の成績、営業CFは現金の実態を表します。武田薬品工業の2026年3月期は、営業CFベース(チャートの値)が2.91倍、営業利益ベースが約0.02倍と大きく違い、利息を払う力は営業CFに支えられていることが分かります。

ラジ株ナビのチャートの値と、解説の標準式の値が違うのはなぜですか?

チャートの値は、営業CFを支払利息で割って作られているためです。標準式は営業利益を支払利息で割ります。本文では、チャートの値から支払利息を逆算して、営業利益ベースの倍率も併記しています。

関連用語

データの出典と更新

この用語解説はEDINET財務データ、決算書分析、株式投資で一般的に使われる財務指標の定義をもとに整理しています。最終更新日: 2026-11-01。

著者・運営者

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