EBITDAとは?償却前利益の意味・営業利益との違い

EBITDAとは

EBITDAは「減価償却などを差し戻して見た、事業の現金収益力に近い利益」です。設備投資が大きい企業の比較で使われます。

計算式

EBITDA = 営業利益 + 減価償却費

使い方

  • 償却負担が大きい企業の収益力を見る
  • EV/EBITDAなどのバリュエーションに使う
  • 国や会計基準の違いをならして比較する

注意点

  • 設備更新に必要な投資は反映されにくい
  • 借入負担や税金は別途確認する
  • EBITDAだけで配当余力は判断しない

EBITDAの読み方

EBITDA(イービットディーエー)は、営業利益に減価償却費を足し戻した金額で、「設備の取得費を費用にする前の稼ぐ力」を表す数字です。減価償却費は、過去に買った設備や買収した資産の取得費を何年かに分けて費用にしたもので、その年に現金が出ていくわけではありません。そのため、設備の多い会社と少ない会社を同じ土俵で比べたいとき、償却の重さを取り除いたEBITDAが使われます。

この数字だけで会社の良し悪しは決まりません。EBITDAはあくまで営業利益と減価償却の合計なので、設備を維持するための投資、利息、税金、運転資金の増減はまだ引かれていません。EBITDAが大きくても、設備投資の負担がそれ以上に重ければ、手元に残る現金は少なくなります。EBITDAは、EV/EBITDAや純有利子負債の返済年数など、他の指標の材料として使うのが実用的です。

実在企業で見るEBITDAの計算例

通信のソフトバンク(9434)の2026年3月期は、営業利益が約1兆426億円、減価償却費が約7,853億円で、EBITDAは1兆426億円+7,853億円=約1兆8,279億円でした。売上高約7兆386億円に対するEBITDAマージンは約26.0%で、営業利益率(約14.8%)より11ポイントほど高くなります。2021年3月期と比べると営業利益は約7%の増加にとどまりますが、EBITDAのマージンは約32.0%から26.0%へ下がっており、売上の伸びに対して利益の厚みが薄くなったことが分かります。

鉄鋼の日本製鉄(5401)は、利益の落ち込みをEBITDAがどう映すかの例です。2023年3月期は営業利益が約8,836億円、減価償却費が約3,402億円でEBITDAは約1兆2,238億円でした。2026年3月期は営業利益が約2,429億円(約72.5%減)、減価償却費が約5,739億円で、EBITDAは約8,168億円(約33%減)です。減価償却費が約69%増えたことが落ち込みを和らげていますが、増えた理由はこのデータだけでは確認できません。この年の設備投資は約8,632億円と、EBITDAとほぼ同じ規模でした。

小売のイオン(8267)は、営業利益より減価償却費のほうが大きい例です。2026年2月期は営業利益が約2,705億円、減価償却費が約3,629億円で、EBITDAは約6,334億円でした。営業利益率は約2.5%ですが、EBITDAマージンは約5.9%と2倍以上になります。店舗など大きな設備を持つ会社では、営業利益だけを見ると稼ぐ力を小さく見積もってしまう可能性があります。

業種による水準の違い

EBITDAと営業利益の差、つまり減価償却費の重さは業種で大きく変わります。携帯回線や基地局を持つ通信、製鉄所を持つ鉄鋼、多数の店舗を持つ小売では、売上高の5〜10%を超える償却費を持つ会社もあります。ソフトバンクは売上高の約11%、日本製鉄の2026年3月期は約5.7%です。

一方、ソフトウェアや設計中心の会社、人が価値を生む広告・人材サービスでは、設備が少ないため償却費が軽く、EBITDAと営業利益がほぼ同じになります。EBITDAのマージンは、同じ業種どうしで比べないと意味が薄くなります。

よくある誤解

1つ目は「EBITDAは現金の儲けそのもの」という誤解です。日本製鉄の例のように、EBITDAとほぼ同じ規模の設備投資が必要な会社では、EBITDAの大半が設備の更新に消えます。2つ目は「償却費は気にしなくてよい費用」という考え方で、償却費は過去の投資の裏返しであり、設備が古びれば更新の支出として戻ってきます。

3つ目は、会社をまたいだ比較での定義の違いです。日本基準では営業利益に含まれるのれんの償却が、IFRSでは行われないなど、会計基準によって営業利益の水準が変わります。4つ目は、減価償却費の増減だけでEBITDAが動く場合があることです。償却方法や耐用年数の見直し、M&Aによる資産の増加が、営業利益と償却費を同時に動かすことがあります。有報の注記で変更の有無を確認してください。

他の指標との組み合わせ方

EBITDAを企業価値(EV)で割ると、設備の重さを揃えた割安度の物差しであるEV/EBITDAになります。EBITDAに対して借金が何年分あるかを見る使い方もあります。営業利益そのもの(営業利益率)や、設備投資の負担(設備投資比率)、営業CFとあわせて見ると、EBITDAが実際の現金に変わっているかを確かめられます。

データの出所

EBITDAの計算例は、有価証券報告書(EDINET)をもとにラジ株ナビが整理した財務データ(2026年10月時点)の「営業利益」「減価償却」「EBITDA」「EBITDAマージン」「売上高」「設備投資」から取っています。対象はソフトバンク(9434)の2021年3月期と2026年3月期、日本製鉄(5401)の2023年3月期と2026年3月期、イオン(8267)の2026年2月期です。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。

よくある質問

EBITDAと営業利益はどう使い分けますか?

会社の本業の成績は営業利益、設備の重さを揃えた比較にはEBITDAを使います。イオンの2026年2月期は営業利益率が約2.5%でも、EBITDAマージンは約5.9%でした。店舗などの設備が大きい会社どうしを比べるときに差が出ます。

EBITDAが大きい会社は、手元の現金も多いのですか?

限りません。EBITDAは設備投資、利息、税金を引く前の数字です。日本製鉄の2026年3月期はEBITDAが約8,168億円でしたが、設備投資が約8,632億円あり、EBITDAとほぼ同じ規模でした。営業CFや設備投資とあわせて確認します。

EBITDAの計算に使う減価償却費に、のれんの償却は含まれますか?

会社によります。日本基準ではのれんを償却するため含まれ、IFRSでは償却しません。会計基準が違う会社を比べるときは、営業利益の水準も含めて定義を有報の注記で確認します。

関連用語

データの出典と更新

この用語解説はEDINET財務データ、決算書分析、株式投資で一般的に使われる財務指標の定義をもとに整理しています。最終更新日: 2026-11-01。

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