ROAとは?総資産利益率の意味・計算式・ROEとの違い
ROAとは
ROAは「会社が持つすべての資産を使って、どれだけ利益を出したか」を見る指標です。借入の影響を受けにくく、事業全体の効率を見るのに向いています。
計算式
ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
使い方
- 資産効率の高い企業を探す
- ROEだけでは見えにくい借入依存を確認する
- 同業他社と収益効率を比較する
注意点
- 装置産業や金融業では業種特性で低くなりやすい
- 総資産が急増した直後は一時的に低下しやすい
- ROA単体では成長性や株主還元は判断できない
ROAの読み方
ROA(総資産利益率)は、会社が持つ総資産全体を使って、1年間にどれだけの純利益を生んだかを示します。総資産は、自己資本と借入などの負債を合わせた、会社が事業に使っている資産の合計です。ROEが株主の資本だけを分母にするのに対し、ROAは借入でまかなった部分も含めて分母にするため、借入の多少に左右されにくく、事業そのものの効率を測るのに向いています。
ROAは「純利益率×総資産回転率」に分けて考えられます。純利益率は売上100円あたりに残る利益、総資産回転率は総資産の何倍の売上を上げたかを表します。高ROAは、利益率が高いか、資産を速く回しているかのどちらか(または両方)で生まれます。同じROAでも中身が違うため、分解して読むと会社の稼ぎ方が見えてきます。
実在企業で見るROAの計算例
海運の日本郵船(9101)の2023年3月期は、純利益が約1兆125億円、総資産が約3兆7,768億円で、ROAは26.81%でした。内訳は、純利益率38.70%と総資産回転率0.69回の掛け算です。2026年3月期は純利益が約2,118億円、総資産が約5兆2,017億円で、ROAは4.07%。純利益率は8.74%、回転率は0.47回に下がっています。純利益が約5分の1になる一方、総資産は約38%増えたことが重なり、ROAは3年で大きく下がりました。
半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)の2026年3月期は、純利益約5,745億円、総資産約2兆8,610億円で、ROAは20.08%でした。自己資本比率は72.35%で有利子負債はなく、借入に頼らない形で高いROAを出しています。同期のROEは29.6%です。
小売業のニトリホールディングス(9843)は、2021年2月期にROAが9.94%(純利益約921億円、総資産約9,270億円)でしたが、2026年3月期は5.68%(純利益約893億円、総資産約1兆5,713億円)です。純利益はほぼ横ばい(約3%減)なのに、総資産が約1.7倍に膨らんだことがROA低下の主な理由です。なお、この間に決算月が2月から3月に変わっています。
不動産の三井不動産(8801)の2026年3月期は、純利益約2,787億円に対し総資産が約10兆1,035億円と大きく、ROAは2.76%でした。総資産回転率は0.27回と低く、不動産のように大きな資産を長く持つ事業の特徴が表れています。ROEは8.7%で、自己資本比率32.45%の分だけ借入を使ってROAを引き上げています。
業種による水準の違い
ROAは、持つ資産の量と軽さで水準が変わります。ソフトウェアや半導体関連、ブランドで稼ぐ会社のように、少ない資産で利益を生む業種は、ROAが10%を超えることもあります。逆に、不動産、電力、鉄道のように、巨額の資産を持って長期にわたり収益を得る業種は、2%台から3%台でも普通です。
銀行などの金融業は、預金という形で集めた資金を運用するため、総資産が非常に大きく、ROAは1%を切るのが一般的です。ROAは業種をそろえて比べてください。また、総資産が急に増えた直後は、利益が追いつかず一時的にROAが下がることがあります。ニトリの例のように、資産が増えた後の数年で利益が追いついてくるかを確認します。
よくある誤解
「ROAが低い会社は効率が悪い」という見方は誤りです。三井不動産のROAは2.76%ですが、不動産はそもそも資産が大きい事業で、同業と比べて初めて評価できます。数字の高さではなく、業種の標準と推移を見るのが基本です。
2つ目は、ROAの変化の原因を一つに決めつけることです。日本郵船のように、利益率の低下と回転率の低下が同時に起きることもあります。3つ目は、期末の総資産で割るROAは、期中に資産が急増した会社で実態よりも低く出る点です。総資産の増加が一過性か、継続的な事業拡大かを見極めます。
4つ目は、利益の質を見ずにROAの高さだけで評価することです。ROAの分子は最終的な純利益のため、特別利益や一時的な要因で膨らんだ年は、実力以上に高く出ます。日本郵船の2023年3月期のROA26.81%のように極端に高い水準は、その後も続くとは限りません。複数年の推移で、平均的な水準を確かめてください。
他の指標との組み合わせ方
ROAとROEを並べると、借入の影響が分かります。ROEがROAより大きく上回るほど、借入を使って自己資本の利益率を高めていることになります。ROAを上げる2つの道は、純利益率と総資産回転率に分けて確認できます。営業段階の利益率は営業利益率で見ます。
データの出所
ROAの計算例は、有価証券報告書(EDINET)をもとにラジ株ナビが整理した財務データ(2026年10月時点)の「純利益」「総資産」「ROA」「売上高」「自己資本比率」「ROE」から取っています。対象は日本郵船(9101)の2023年3月期と2026年3月期、東京エレクトロン(8035)の2026年3月期、ニトリホールディングス(9843)の2021年2月期と2026年3月期、三井不動産(8801)の2026年3月期です。ROAは期末の総資産で割った値で、データの数値と一致することを確認しています。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。
よくある質問
ROAは何%あれば良いですか?
業種で大きく違います。一般には5%以上が一つの目安とされますが、不動産や電力は2%から3%でも標準的です。本文の例では、東京エレクトロンが20.08%、三井不動産が2.76%でした。同じ業種の会社と比べてください。
ROAとROEの違いは何ですか?
ROEは自己資本を分母とし、ROAは借入を含む総資産を分母にします。借入を増やすとROEは高まりやすくなりますが、ROAは変わりません。三井不動産は、ROAが2.76%、ROEが8.7%と、借入を使った分の差があります。
ROAが急に下がったときは何を見ればよいですか?
純利益が減ったのか、総資産が増えたのかを分けて確認します。日本郵船の2026年3月期は、純利益の減少と総資産の増加が重なりました。ニトリは純利益がほぼ横ばいで、総資産の増加が主な理由でした。
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データの出典と更新
この用語解説はEDINET財務データ、決算書分析、株式投資で一般的に使われる財務指標の定義をもとに整理しています。最終更新日: 2026-11-01。
著者・運営者
本ページは、ラジトレが運営するラジ株ナビ編集方針に基づき、日本株の財務分析、EDINETデータ、決算短信、配当情報をもとに作成しています。